No.642024.1.1
(令和6年1月1日更新)
2023年12月5日、第65回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催され、仕事と育児・介護の両立支援対策の充実に関する案が示されました。
主な内容は次のとおりです。
【子が3歳になるまで】
テレワークを事業主の努力義務とする。
業務の性質・内容等からテレワークが困難な労働者の配置転換や新たな職種等を設けることまで事業主に求める
ものではないこととする。
現行の単独措置義務の仕組みを維持する。
現行の制度を引き続き維持したうえで、他の勤務時間も併せて設定することを一層促すため、これらの設定が望
ましい旨指針で示す。
短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置に関する仕組みを維持し、代替措置に、テレワークを追加
する。
【子が3歳以降小学校就学前まで】
各職場の事情に応じて、事業主が以下の中から労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設
け、労働者は事業主が選択した措置の中から1つ選べることとする。
a)始業時刻等の変更
b) テレワーク等(所定労働時間を短縮しないもの)
c) 短時間勤務制度(育児のための所定労働時間の短縮措置)
d) 保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配および費用負担等)
e) 新たな休暇の付与(労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための休暇)
事業主は、措置を選択し講じようとするときは、事業所に労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその
労働組合、事業所に過半数組合がないときはその労働者の過半数を代表する者から意見を聴かなければならな
い。
事業主が、制度を利用できるようになる子が3歳になるまでの適切な時期に労働者に対して制度の説明と取得意
向を確認するための面談等を行うことを義務付ける。
日々雇用の者、労使協定で以下について措置を講じないものとして定められた労働者は対象外とする。
a) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
b) 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
始業時刻の変更等や短時間勤務制度については、努力義務規定を削除
育児休業に関する制度に準ずる措置および育児目的休暇については、引き続き努力義務を存置
3歳になるまでの子を育てる労働者と同様、3歳以降小学校就学前までの子を育てる労働者は、権利として残業
免除を請求できることとする。
【子の看護休暇制度の見直し】
感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式および入学式を対象)にも利用できるようにす
る。
名称を「子の看護等休暇」に見直す
小学校3年生修了時までとする。
現行の日数(1年間に5日、子が2人以上の場合は10日)を維持する。
継続して雇用された期間が6カ月未満の労働者を労使協定によって対象から除外する仕組みは廃止。
【育児休業取得状況の公表】
常時雇用する労働者数が「1,000人超の事業主」から「300人超の事業主」に拡大
小規模企業では対象となる男性労働者数が少ない場合があるため、厚生労働省で運営するウェブサイト「両立支
援のひろば」において説明欄を設けるとともに、当該説明欄や企業のウェブサイトにおいて公表時に社内の状況
に関する説明ができる旨周知
【認定基準の見直し】
・男性労働者の育児休業等取得率
・男性労働者の育児休業等・育児目的休暇取得率
・女性労働者の育児休業等取得率
・フルタイム労働者の時間外労働等の状況
・所定外労働の削減のための措置などの目標
・能力向上またはキャリア形成の支援のための取組に係る計画
【介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等】
労働者が申出をした場合に、事業主が両立支援制度等に関する情報を個別に周知し、意向を確認することを義務
付ける。
40歳のタイミング等の効果的な時期に、事業主が、労働者に対して、介護に関する両立支援制度の情報を記載し
た資料等を配布する等の情報提供を一律に行うことを義務付ける(国は情報提供のためのひな形等を提供)。
事業主が、次のいずれかの措置を講じることを義務付ける。
・介護に関する両立支援制度に係る研修の実施
・介護に関する両立支援制度に関する相談体制の整備
・介護に関する両立支援制度の利用事例の収集・提供
・介護に関する両立支援制度および両立支援制度の利用促進に関する方針の周知
継続して雇用された期間が6カ月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みは廃止
選択的措置義務とはせず、努力義務とする。
業務の性質・内容等からテレワークが困難な労働者の配置転換や新たな職種等を設けることまで事業主に求める
ものではないこととする。