No.532023.2.1
(令和5年2月1日更新)
厚生労働省は、1月18日に開かれた諮問機関「労働政策審議会」の分科会において、障害者雇用促進法に基づき企業に義務付けられている障害者の法定雇用率(雇用割合)に関し、現行の2.3%から2.7%に引き上げる改正政令案要綱を了承しました。
なお、0.4ポイントの引上げ幅は、障害者雇用が義務化された1976年以降で最大となりました。
ただし、企業側が受け入れ態勢を整えるための期間を考慮して、2023年度においては、2.3%で据え置くこととしました。
また、今回は2段階での引き上げを考えており、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%となる予定です。
国や地方公共団体等についても民間企業と同じ0.4ポイントの引き上げ幅で、且つ民間と同様に2段階で実施し、2024年4月から国や地方公共団体等は2.8%、都道府県の教育委員会は2.7%に、更に2026年7月以降、国や地方公共団体等は3.0%、都道府県の教育委員会は2.9%に上げるとしています。
障害者雇用促進法では、障害者が働く場を増やすための措置として、43.5人以上を雇用する企業に対し、現行で従業員数の2.3%以上の障害者を雇うよう義務付けています。
企業で働く障害者は2022年6月1日現在で約61万4000人となり、過去19年連続で最多を更新しました。一方で法定雇用率を達成している企業は全体の48・3%にとどまっています。中小企業などでは障害者雇用のノウハウがない企業も多く、企業への支援拡充も求められています。
なお、先の臨時国会で成立した障害者雇用促進法に基づき、2024年4月から、雇入れに必要な一連の雇用管理に対する相談援助の助成金が創設される予定であり、あわせて、特に短い労働時間(週10~20時間)で働く重度の身体障害者・知的障害者や精神障害者の実雇用率への算定が可能となるとされています。
正式に、この内容で決定した場合は、段階的とは言え大きな引上げになるため、法定雇用率を下回る企業は障害者雇用の強化を進める必要があります。
(注)
障害者雇用納付金の申告義務は、常時雇用労働者が100人超の事業主で、障害者の実雇用率が法定雇用率に達していない労働者が100名以上の民間企業は、納付金支払い義務が生じます。(1名当たり5万円/月)
また6月1日の雇用状況により2年間の雇入れ計画を作成し、実施しなければなりません。
2年間で法定雇用率が達成しなければ、厚生労働省のホームページに障害者雇用率が未達成の企業として掲載され、社名検索で上位に表示されます。
一方、常用労働者数が100人を超える事業主で障害者雇用率を超えて障害者を雇用している場合は、超えて雇用する人数に応じて1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。
常用労働者数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度間合計数が一定数(各月の常用労働者数の4%の年度間合計数または72人のいずれか多い数)を超えて障害者を雇用している場合は、その一定数を超えて雇用している人数に21,000円の報奨金が支給されます。