No.572023.6.1

5類移行に伴う新型コロナに対する考え方は?

(令和5年6月1日更新)

 

 政府は、5月8日から、新型コロナウイルス感染症の法的な位置づけに関し、2類から「5類感染症」に引き下げ、マスク着用や外出自粛の要請を季節性インフルエンザ同様に、企業や個人に委ねられることとしました。

 そこで、今回は、2類から5類への引下げによる事業所への影響について検証していきます。

 

 まず、最も大きいのは行動制限の解除です。2類時には、労働者本人が罹患した場合、無症状に近い場合でも就業制限や濃厚接触者扱いでの就業制限が様々な現場であり、事業所の大きな負担となっていました。

 ただし、5月8日以降、新型コロナウイルスに感染した場合は、政府から一律に外出自粛の要請は無くなりましたが、国立感染症研究所のデータや諸外国の取り扱いも踏まえ、厚労省は、新型コロナウイルスに感染した場合、発症の翌日から5日間は外出を自主的に控えることを推奨しています。更に、5日目にも発熱などの症状が続いている場合にも、症状の軽快後24時間経つまでは外出を控えるよう推奨しています。 

 更に、その期間が過ぎて外出する場合も、10日間経過するまでは、コロナウイルスを排出している可能性があるため、不織布のマスクをしたり、重症化リスクの高い人との接触を控えたり、周りの人にうつさないような配慮を呼びかけています。

 また、せきやくしゃみが続く場合は、症状が収まるまでマスク着用などで他の人に感染させない「せきエチケット」を心がけるようにとのことです。 
 今後は、マスクも含めて、感染対策は個人判断を基本に、その判断が各場面においても尊重されるよう配慮を求めています。

 

 

<事業所が対応すべきこと>

 

 アクリル板やパーテーションの設置や換気の為のドアや窓の開放といった「事業所の設備に関するもの」での見直しは、個々の労働者の同意等がなくても、事業所の判断で撤去等が可能となりました。

 また、「従業員の行動を必要とするルール」に関してはマスク着用や手洗い・ウガイ、体温測定など、事業所が従業員に対しその実行を命令、或いは推奨してきたところ、3月13日以降マスク着用は任意とするとの政府発表がされています。

 但し、体温測定やその報告に関しては、取引先や顧客からの要望等により実施している場合も有り得るので、そのような場合には取引先等との調整が求められています。

 

 

 次に、欠勤の判断に関するルールの見直しが必要かどうか?

 

 コロナ禍において、事業所は体調がすこしでも悪いと感じた場合や従業員の家族の体調が悪い場合、新型コロナウイルス感染症罹患の可能性を考慮し、コロナ禍の前よりも緩い基準で欠勤を許可したり、自宅待機を命じたりしてきたかと思われます。

 また、コロナ禍にあって、業務生産性を維持かつ高める為に、時差勤務や在宅勤務等の新たな制度を導入し、それに伴う通勤手当等の見直しのために規定変更をした事業所が多々ありました。

 これ等に関しては、コロナ禍に合わせて変更した制度は、規定上「元に戻す」ことが予定されている場合、不利益変更の問題は生じません。その為、こうした規定がある場合、5類引下げを機に元に戻すことは、特段なんら問題はありません。

 しかし、「元に戻す」という規定がない場合、労働条件の不利益変更となる可能性を考慮し、規定変更の合理性と労働者が受ける不利益の程度を踏まえ、制度の見直しを慎重に進めていく必要があります。 

 

 

<医療提供体制について>

 

 これまでは新型コロナウイルスに感染した場合、限られた医療機関でのみ受診可能でしたが、5月8日以降は、医療機関が新型コロナウイルスへの感染や感染の疑いを理由に、患者の診療を断るのは難しくなります。

 つまり、医師法では「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と定められています。

 なお、これを医師の「応召義務」と呼んでいます。ゆえに、この応召義務により幅広い医療機関での受診が可能となりました。
 また、PCR検査や入院・外来の医療費については、季節性インフルエンザなどと同様に健康保険が適用され、1割~3割の自己負担が基本となります。

 ただし、急激な負担の増加を避けるため、引き続き、新型コロナウイルス感染症の治療薬や入院される方の医療費は、9月末まで軽減されます。

 その後の取り扱いについては、感染状況を踏まえて改めて検討することとされました。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金についてですが、これまでは療養担当者意見欄の証明の添付が不要でしたが、5月8日以降の申請については、医師の証明が必要となりますので注意が必要です。

 

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