No.652024.2.1
(令和6年2月1日更新)
1月22日、第1回労働基準関係法制研究会が開催され、働き方改革関連法附則12条に基づく労働基準法等の見直しの検討が始まりました。
資料では、「労働基準に関する諸制度について」として、次の項目が挙げられています。主な課題とあわせて概略の紹介をします。
◎労働基準法全体(事業、労働者等)
事業場単位で捉えきれない労働者が増加していることなどを考慮すると、「労働者」「事業」「事業場」等の労働基準法制における基本的概念についても、経済社会の変化に応じて在り方を考えていくことが必要。
◎労働時間制度全体
個々の労働者の置かれた状況に応じた健康管理について、医学や診断技術の進歩も考慮しつつ、継続的に検討していくことが必要。
時間や場所にとらわれない働き方の拡大を踏まえ、労働者の心身の健康への影響を防ぐ観点から、勤務時間外や休日などにおける業務上の連絡等の在り方についても引き続き議論がなされることが必要。
企業において労働者の健康管理を行うにあたって、業務遂行に直接に関わる部分を超えて労働者の健康に係る情報をどこまで企業が把握してよいかについても課題であり、検討することが必要。
◎年次有給休暇
さらなる取得率向上のため、例えば、年次有給休暇の完全消化を前提に年度当初に取得計画を作成することや、そのために必要な要員配置を行うことを企業に推奨するなど、より一層の取得率向上の取組みが求められる。
年5日を超えて時間単位年休を取得したいという労働者のニーズについては、まずはこうしたニーズに応えるような各企業独自の取組みを促すことが必要。
リフレッシュのための休暇とそれ以外の休暇を分けて考えるべきであり、例えば病気休暇などについて検討すべき課題であるとの指摘等があった。
◎勤務間インターバル制度
働き方改革関連法の施行の状況等を十分に把握した上で検討を進めていくことが求められる。
◎法定労働時間の特例(週44時間特例措置対象事業場)
特例措置対象事業場の範囲の縮小を図る方向で、改めて審議会で検討の上、所要の省令改正を行うことが適当。
◎労働時間規制の適用除外(管理監督者等)
各企業においてどのような者が管理監督者に該当するか、適切な判断が難しいのではないかといった指摘がある。
◎労使コミュニケーション
企業内等において、多様な働く人の声を吸い上げ、その希望を労働条件の決定に反映させる為には、現行の労働基準法制における過半数代表者や労使委員会の意義や制度の実効性を点検した上で、多様・複線的な集団的な労使コミュニケーションの在り方について検討することが必要。
◎労働市場を活用した自主的な労働条件の向上の取組み
企業の自主的な取り組みを支援し促進することを通して、履行確保を図るという対応も検討される必要がある。
そのためには、企業に対して法制度の周知・啓発を図る。また、コンサルティング等を通して労働条件や職場環境を点検し、改善を図る企業の自主的な取り組みを促進する等の対応が考えられる。
◎賃金請求権等の時効
施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の規定について、その施行の状況を勘案しつつ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
◎働き方改革を推進するための法律案に対する附帯決議
長時間労働削減策の実行に併せ、事業主が個々の労働者の労働時間の状況の把握を徹底し、かつその適正な記録と保存、労働者の求めに応じた労働時間情報の開示を推奨することなど、実効性ある改善策を講じていくこと。