No.222020.7.1

テレワークと労働災害

(令和2年7月1日更新)

 

移動中、出張先、カフェーなど特定の施設に依存しない等、どこでも業務遂行が可能な形態であるテレワークが、新型コロナウイルス感染症防止対策の一貫として、中小企業でも一気に導入が加速しました。

内閣府は6月21日、新型コロナウイルス感染症の影響で全国の勤労者の34.6%の人がテレワークを行い、このうち継続希望は8割超に上る調査結果を公表致しました。

また、大阪商工会議所の調査によると、大阪府内の中小企業に於いて、テレワーク導入率が今年の3月時点では、9.5%だったところ、6月の調査(回答中小企業407社)では、52%と半数を超えました。
但し、導入企業の半数以上が、テレワーク導入を全く考えていなかったが、急遽 新型コロナウイルス感染症対策の必要性に駆られての導入でありました。

従って、運用規定を整備しないままの導入やセキュリティー教育や安全確保の指示を社員に行えないままの導入での見切り発車で、十分な対策がなされないケースも多々あり、今後の課題であると思われます。

 

なお、テレワークをしている人(テレワーカー)であっても、労働者である以上、当然 労働基準法や労働者災害補償保険法などの法律が適用されます

テレワークは、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィース」の3形態がありますが、どの形態であろうが、テレワーク時の業務災害は、通常の業務災害と同様に、業務と傷病等との間に一定の因果関係が求められます。
 つまり労災の対象となるには、会社の指揮命令があることが必要で、且つ、それが私的行為中なのか、業務上の行為なのか明瞭でなくてはなりません。

従って、労災と認定されるには、業務遂行性(労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態)と業務起因性(労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態に伴って危険が現実化したものと経験則上認められること)が必要となります。なお、労災の対象者は、あくまで会社の労働者であることが鉄則で、請負契約や委任契約の場合は、通常補償の対象とはなりません
 
以上からテレワークを導入する際は、労働時間の管理方法や、作業場所の特定、業務報告の方法などを予めしっかりと決めておき、対象労働者へ周知しておくことが重要になります。

例えば、在宅勤務者が「自宅で所定労働時間にパソコン業務を行っていたが、トイレに行くため作業場所を離席した後、作業場所に戻り椅子に座ろうとして転倒した」場合は、業務行為に付随した行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものでなく、業務災害として認定されるでしょう。

更に、在宅勤務者が、出張先での事故や業務遂行のためにオフィスへ行く途中の怪我の場合などは、会社の命令で仕事に赴いているので、業務災害にあたります。ただし出張先でも私的行為による災害は対象外ということです。例えば出張先から帰る前に仕事とは関係なく現地を観光し、その最中に災害に遭っても認定されません。


通勤災害の場合、モバイルワークやサテライトオフィース形態での就業に関し、住居と就業場所の往復等を合理的な経路及び方法で行う事等によって被った傷病等は、通勤災害として認められます。
 

テレワーク導入に際し、様々なトラブルを想定し、テレワーク規程等を整備し、また見直しをして、適正に運用しましょう。



「在宅勤務」とは、自宅で仕事を行う形態で、半日在宅勤務という働き方もあります。

「モバイルワーク」とは、顧客先、移動中、出張先のホテル、交通機関の車内、喫茶店などで特定の施設に依存しない、どこでも仕事を行う形態のこと。

「サテライトオフィース」とは、企業の本社、本拠地から離れた場所に設置されたオフィースで仕事をする形態で、シェアオフィスやコワーキングスペースも、このサテライトオフィースにあたります。

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