No.592023.8.1

マイナンバーカードの医療機関使用のメリット・デメリット

(令和5年8月1日更新)

 

    もともと、社会保障や税、災害対策の3分野における情報連携、行政手続き簡略化のために導入されたマイナンバー(個人番号)ですが、2021年10月20日から、健康保険証機能が追加され、医療保険領域でもサービスが使えるようになり、2024年秋には完全に移行する方向で進んでいる状況です。
 マイナンバーカードを健康保険証として利用するマイナンバー健康保険証(以下 マイナ保険証という)についての概略説明をします。


 従来の健康保険証は、窓口でカードを提示して、加入している健康保険や受診歴などを確認していましたが、マイナ保険証はカードリーダーにかざすと、内蔵されたICチップの電子証明書によって本人確認が行われます。

 また、マイナ保険証の顔写真によって確実に本人確認ができるようになります。つまり、病院や薬局等の窓口に顔認証付きカードリーダーが設置されていると、ICチップから読み取った情報と顔写真を照合して自動で本人確認ができます。 
 加入している健康保険の内容と本人確認を非接触で行えるため、自動で素早く受付の対応ができるのは大きなメリットです。

 

一体化のメリット

 

・健康保険証の不正利用対策
 まず、紙やプラスティックカードの健康保険証には顔写真がないため、保険証を使いまわしたり所持者以外の本人確認書類として使われたりするケースがあります。顔写真入りのマイナ保険証を使うことで不正利用を防止する効果があります。

・医療費や投薬などの情報が閲覧できる
    日本政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」で病院などの診療内容や処方された薬の情報、支払った医療費、特定健診の結果情報などを見ることが可能です。
 また病院を受診した際、※マイナポータルに記録されている過去の診療や薬情報などの提供に同意すれば医師から適切な治療方法や薬の処方を受けられます。
 ※マイナポータルとは?
  
子育てや介護など、行政手続のオンライン窓口です。オンライン申請のほか、
行政機関等が保有する本人の情

  報の確認や、行政機関等からのお知らせ通知の受信などのサービスを提供している窓口です。

 

・確定申告医療費控除手続きの簡素化
 1月1日~12月31日までの1年間に一定以上の医療費がかかった場合、確定申告で医療費控除を申告すれば払った税金の一部が返ってくることがありますが、その手続きを簡素化できます。
 従来は、病院でもらった医療費の領収書や薬局で購入した薬代を確定申告書とともに提出しなければなりませんでしたが、マイナ保険証を使えば「マイナポータル」に記録されている保険診療の医療費データをオンライン上の確定申告書に自動入力でき、領収書を税務署に提出する必要がなくなります。

 

・転職や転居直後でも健康保険証がすぐに使える

 従来の健康保険証は、就職や転職、引っ越し時に更新手続きを行い、新しい健康保険証が届くまでの間、保険診療を受けることができず、医療費は原則、全額自費負担となります(医療機関によって対応が異なる)。

 マイナ保険証の場合、医療保険者への手続きが済んでいれば、新しい健康保険証の到着を待たずに、医療機関・薬局で健康保険証として利用ができます

 また、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入している場合でも、定期的な被保険者証の更新は必要ありません。ただし、医療保険者等が変わる場合は加入の手続きが必要となるため、留意ください。

 

・高額療養費制度の手続き簡素化
 高額療養費制度とは、1ヵ月の間に年齢と所得などによって設定されている「自己負担限度額」を超えて医療費を支払った場合、超えた分があとから払い戻される制度です。そのため、いったんは全額を支払う必要があります。
 なお医療費が高額になることが予め分かっている場合は「限度額適用認定証」を申請し、認定書と健康保険証を病院の窓口に提示することで、支払う医療費を自己負担限度額までにすることが可能です。
 どちらの方法を取るにせよ、被保険者にとっては負担になりますが、マイナ保険証を使えば高額療養費制度における自己負担限度額以上の支払いは発生しません。更に一時的な全額自己負担も限度額適用認定証の申請も不要となります。

 

・紙やプラスティックカードの保険証よりも初診料の負担額が安い
 2022年度以降、マイナ保険証と紙やプラスティックカードの健康保険証では、初診料・再診料の自己負担額が異なり、負担額はマイナ保険証を使う方が若干安くつきます。なお2023年4~12月、2024年1月以降で負担額が変わるため、注意を要します。
(一例)
 医療費3割負担の人がマイナ保険証を利用して受診すると、自己負担額として初診で6円が発生します。一方で、従来の健康保険証では初診で12円かかるため、マイナ保険証の方が安くなるのです。従来の保険証と違い、再診料の追加費用も発生しません。

 

一体化のデメリット
 当然、マイナ保険証と一体化することにはデメリットもあります。一体化利用する際には、デメリットについても十分理解しておきたいものです。

 

・紛失時の個人情報漏えいリスク
 最も懸念されるのが、マイナンバーカードを紛失したときに個人情報が漏えいすることです。裏面に記載される12桁のマイナンバーやICチップに保存されている電子証明書のデータは、個人情報です。12桁のマイナンバーや電子証明書のデータと暗証番号があると、マイナポータルで情報が閲覧できます。特に、暗証番号の保管等に関しては、注意が必要です。なおカードの紛失や盗難に遭った場合は、マイナンバー総合フリーダイヤルに電話すればカードの利用を一時的に停止できることが可能です。
 一時利用停止の処理は、24時間365日体制で対応しているため、紛失したらすぐに届け出をしましょう。

 

・健康保険証として使えない医療機関がある
 マイナ保険証を医療機関や薬局などで使うには、カードリーダーの設置が必須です。リーダーがない医療機関・薬局では、マイナ保険証が使えないため注意が必要です。なお2023年5月7日現在、マイナ保険証の利用ができる医療機関・薬局は全国で16万4,219件となっています。
 マイナ保険証が利用できる医療機関・薬局には、ステッカーが貼られているほか、厚生労働省の公式サイトでリストが公開されているため、チェックすることが出来ます。ただし2023年4月1日から医療機関・薬局に対してオンラインによる保険資格確認が原則義務化されたため、今後はすべての医療機関・薬局で、マイナ保険証利用が可能になる見込みです。

 

・毎回提示が必要になる
 マイナ保険証を利用する場合、毎回カードリーダーで認証を行う必要があります。継続して病院に通院している場合、紙の健康保険証なら月初に一度、提示すればよかったことに比べると手間が増えると感じるかもしれない。ただし、病院による診察カード等があれば、月初に一度の提示で済みます。

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