No.202020.4.30

新型コロナウイルス感染症による雇用調整助成金の特例措置拡大

(令和2年4月30日更新)

 

雇用調整助成金

そもそも雇用調整助成金とは、昭和56年(西暦1981年)に設けられた助成金で、景気の後退等、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされ、雇用調整を行わざるを得ない事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向(以下、「休業等」といいます。)を行い、労働者の雇用を維持した場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。  とりわけ、平成20年秋のリーマン・ショックを受けて助成内容が大幅に改訂され、更に今回のコロナウイルス感染症の拡散にあたり、更なる特例措置での拡充が行われました。

 

対象労働者・対象業種を拡大

新型コロナウイルス感染症の拡大による休業要請や営業自粛が広がり、雇用調整助成金の活用を検討する事業者がウナギ登りに増えています。

厚生労働省では、4月1日から6月30日までの間の休業等について、雇用保険被保険者でないパート、アルバイト等週当たりの労働時間が20時間未満の労働者、4月入社で1日も出社していない新入社員の休業等も対象としました。更に急遽、風俗関連事業者の休業等も対象に加えました。

 

解雇なしで9/10、解雇ありは4/5の助成

助成率が引き上げられ、解雇等を行わない中小企業の場合は9/10(従前は2/3)、大企業でも3/4(従前は1/2)となっています(解雇等を行った場合は、中小企業4/5、大企業3/4)。

加藤勝信厚生労働大臣は4月25日、中小企業が都道府県知事の要請で休業や営業時間を短縮した場合、従業員に支払う休業手当に対する助成率を10割に引き上げると公表しました。  なお、助成率を10割にするのは、休業手当として賃金全額支給か、1人1日当たりの支給上限となる8330円以上を払っている場合となっております。また、通常の助成率は知事の要請を受けていなくても、休業手当のうち賃金の6割を超える部分については、助成率を10割に上げるとの内容を公表しました。

いずれの拡充措置も、従業員を1人も解雇せずに、雇用を維持した中小企業が対象で、過去にさかのぼって4月8日以降の休業に適用するとしております。

ただし、雇用調整助成金の日額の上限は従来通り1人当たり日額8330円です。今後も引き続き政府見解の推移を見守る必要があります。

 

記載事項・添付書類の省略等により手続きを簡素化(現状)

4月1日より休業等実施計画届等の事後提出が認められることとなり、且つ添付書類の労働保険料に関する書類が不要となったり、休業・教育訓練の実績に関する書類として手書きのシフト表や給与明細の写しでもOKとされたりするなど、手続きが従来の申請に比べて簡素化されたといわれております。  しかし、全国のハローワークや労働局の4月17日の時点では、雇用調整助成金の問い合わせ件数は11万8000件のところ、申請数は985件に対し支給決定はわずか60件でした。  その後の推移を見ますと4月24日現在の相談件数19万1702件で、申請件数2,541件且つ支給決定282件となっております。

以上からも、支給決定までのハードルは添付書類等の省略があったにも関わらず依然高いと言わざるを得ません。

なお、令和2年から不正があった場合の受給に対する罰則が厳しくなっており、以下の罰則事項が定められましたので ご注意下さい。

①事業所名、事業主の公表

②助成金の全額返還に加え、返還を求めた額の20%をさらに請求

③5年間の助成金不支給等

※支給申請後、数年以内に労働局の無予告検査の可能性があります。提出した書類は、支給申請から5年間は保管の義務となっております。

 

今般の新型コロナウイルスの影響が日本経済にも多大な影響をもたらし、戦後初の緊急事態宣言のもと、人的移動の自粛要請に加え、休業を余儀なくされる中小企業・個人事業主も増大しています。

この未曾有の国難に打ち勝つべく、特にコロナウイルスの影響が大きい事業所様に於いては、雇用維持を図りつつ、事業継続を守り抜くための助成金、補助金、融資をフルに活用して資金を確保することが最優先と思われます。

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