No.502022.11.1
(令和4年11月1日更新)
2022年10月25日、第1回社会保障審議会年金部会が開催され、検討課題として大きく次の3つが挙げられました。
1.被用者保険の適用拡大
2.高齢期の就労と年金受給のあり方
3.年金制度の所得再分配機能の維持
上記、各課題に関する議論に関し、以下のように示されました。
【被用者保険の適用拡大】
・2024年10月の50人超規模までの適用拡大により生じる影響の検証を行ったうえで、
さらなる適用拡大をどのように進めていくか議論すべき
・個人事業主の事業所の適用業種についても、士業(弁護士、公認会計士、司法書士、
税理士、社会保険労務士、弁理士、土地家屋調査士、行政書士 等)以外の業種(飲
食・宿泊業など)への適用を引き続き検討すべき
・兼業・副業も含め、適用基準を満たさない就労を複数事業所で行う者に対する保障の
あり方や、フリーランス・ギグワーク(単発の仕事を受ける働き方)・請負型で働く
者など、制度的には個人事業主であっても実態は雇用に近い働き方をしている者への
保障のあり方が問題提起されている。
・被用者保険の適用拡大を進め、被用者性が高い人には被用者保険を適用していくこと
を進めつつ、第3号被保険者制度(65歳未満の会社員や公務員などに扶養されている
配偶者で、20歳以上60歳未満の人)の縮小・見直しを進めていく必要がある。
【高齢期の就労と年金受給のあり方】
・高在老(65才以上の在職老齢年金)を含めた高齢期の年金と就労のあり方は、引き
続き検討を進めていく必要がある。
・就労の長期化を年金制度に反映することにより、長期化する老後生活の経済基盤の充
実が図られるよう、高齢期の就労と年金のあり方について検討を進めていくことが求
められる。
・より多様な形での高齢者の就業機会確保が進められる中、就労と年金の組合せの選択
がより多様で柔軟にできるよう、引き続き検討すべき
【年金制度の所得再分配機能の維持】
・機能維持のためにも、被用者保険の適用拡大を2024年10月の適用拡大以上にさらに
徹底して進める必要がある。
・マクロ経済スライド(賃金や物価による年金額の改定率を調整して、緩やかに年金の
給付水準を調整する仕組み)の効果は、引き続き検証を行うべき
・機能を維持するさらなる方策として、保険料拠出期間の延長についても検討すべき
・報酬比例部分と基礎年金のバランスを確保して機能を維持していくため、どのような
方策が可能か、引き続き検討すべき
また、「障害年金・遺族年金についても、社会経済状況の変化に合わせて見直しを行う必要がないか検証し、その結果に基づいた対応についての検討を進めていくべき」とされました。
更に、「国民年金(基礎年金)の保険料の納付期間に関して、現行の40年間(20歳以上60歳未満)から、45年間(20歳以上65歳未満)に延長することを検討する」という議論が上がりました。
その他、厚生年金保険の財源の一部を基礎年金に配分すること等に関しても課題とされました。